君だけが哲学

大倉忠義ちゃんを応援する夢見る変態さんのブログ

蜘蛛女のキスの6月1日夜公演を見た。

61日夜の感想です~っ。

 

なんとなく大筋がわかった、単純にストーリーを楽しめる余裕が出てきました。いやヴァレンティンの相変わらず体は舐めるように見てるけど………
なんか足の形、あんなだったけ……???随分とぺたんぺたんしてて、土踏まずが無くて、親指が変なところから生えてる………
でも一瞬そんなこと考えてる間にどんどんストーリーが展開されてっちゃっておいてけぼりになるので、疚しいことを考えてはいけないのですよ。

 

 

まずは初日との違いについて。

初日は異様な緊張感故だったのかもしれないけどモリーナの台詞と、ヴァレンティンの台詞と、観客の雰囲気がどこか切り離されてるような印象だったのが、すごくテンポがよくなって一体感があった。

 

あとすごく感じたのが、ヴァレンティンのウザさが増してた()
所謂意識高い系の、クラスにいたら絶対関わりたくないタイプの奴になってたね。

特に序盤、映画の内容について全然関係無い話でつっかかってくる時の声なんかめっちゃ意地悪でむかつく~()っていう。パンフにはモリーナが身近にいたらうざい奴って書いてあったけど、ヴァレンティンの方が余程うざいよね。

モリーナのふざけ具合もちょっと増してたような。
パンフ読んだら緊張する場面が続くから、オカマっぽさで笑いがあると良いというようなことが書いてあったけど。
ボロボ~ロボロボ~ロとか鼻唄歌うのとか、「ハイ!ちゅうも~く!」なんてあったかな?ほんとモリーナかわいいね。

二人芝居だから余計に、関係性の変化が顕著なのかな~。

 

 

つぎにモリーナに感情移入しちゃった件について。

お母さんの話が出て「8年なんかすぐだって。刑期の短縮もあるし。」と言われた後にモリーナの顔がグッと変わって恋人の話を聞き出そうとするんだね。「ブレ」が見えるからこのあとの葛藤が映えるってかんじ。最初からヴァレンティン好きな訳じゃなくて、お母さんを大切に思ってる部分が重要なのよね。
お誕生日を一緒に過ごしたいのなんかもね。お母さんは登場しないからモリーナの台詞で存在を想像するしかないんだけど、幸せな人生を歩んで、年老いている、ってところとかモリーナに愛情を注いでいているのがわかって、余計に結末が悲しくなる。死んじゃったらどっちも手に入らないのに。

下痢の処理をした後、手紙を書いてあげて体を拭いてあげた後、サンドイッチ作ってくれた後の、ヴァレンティンが素直になって心の孤独が見え始めてから、母親の話をし出すと、モリーナは「仲間の話を聞きたくない」という、だんだん母親<ヴァレンティンになりつつある。

特に刑期短縮の話が出て、お母さんの話題をヴァレンティンに振られた時には「そんなこと考えたくないわ!」って考えるのやめようとするところが、自分で振り切ろうとしているところが切ない。自分のことを待っていてくれている、そのお母さんのために早く出所したはずなのに。

挙句セックスしたあとなんて自分のことだけ考えれば、もうそのまま死にたいとか言い出すしw

もう「いやなことばっかり!!!」の言い方なんかいじらしくて、ヴァレンティン察せよ!!!!という気持ちになった。でも鈍感だから「話し合いをするだけのグループもあるよ」とかトンチンカンなことを言うヴァレンティン。逆効果なんですけど……。。
そして「苦しむのに疲れた」、と項垂れるモリーナ。ヴァレンティンは徐々に自分のことをありのままにモリーナに見せてるんだけど、モリーナのヴァレンティンと母親を天秤にかけなくてはいけないという一番の苦悩の根源は、最後までヴァレンティンにはわからない。もちろん性格云々ではなくて、言う訳にはいかないからなんだけど。もうこっそり言っちゃってもよくない?だめか。

 だからこの気持ちのすれ違いがピークの時にセックスするっていうのが虚しいんだよねぇ。。。

んで終えた後の「ありがとう」「俺もありがとう」

俺もありがとうってさぁ、そのなんていうか、言われたから言ったってだけ?でもね、モリーナの手を持って自分の脇腹に当てる仕草が、もう好きなんだよね、それ好きだよねっていう!!!でもいつの間にか自分のベッドに戻っちゃうんだね!薄情なやつめ!!!!

 

そういえば原作で出てくるモリーナの好きなウェイターの話はすべてカット?

それも外の世界=お母さんという部分を際立たせるためかな。そう考えると、それまでのモリーナの恋愛には触れないし、愛を感じたのは母親だけだと言ってて、片想いだけど好きな人、っていうのはヴァレンティンが初めてだという体なのかな?そんなの余計に、二人の愛が離れ離れになっちゃうのが辛いよぉ~。

 

 

好きだなぁと思った演出について。

モリーナがお腹下すところはゆっくり描くんだけど、ヴァレンティンは暗転明けにもう激痛なの、この演出すごく好きだなぁ~。コント的、テレビ的な、あの間ね、流石だなぁってw結構笑えるw

あとはちゃんと1幕終わりと2幕始めのBGMが同じなのとか、ヴァレンティンが下痢して、気づいたら寝ちゃってて、モリーナが「どうなるの?」って右往左往している時に流れる曲と、セックス後に流れる曲とが同じメロディで後者が少しゆっくりなんだよね。ヴァレンティンが素直になってきて、心を開いて、お互いの気持ちがだんだんと接近する合図のようで、それが伏線なのなかなか憎い。他にもシーンの切り替わりで同じBGMが使われているところ、気づいていないだけでありそう。

 

 

かわいいヴァレンティンについて。

精神分析医の容姿を話すときにヴァレンティンは自分の髭とかいじいじして「……俺?」って顔してるのがかわいい。知らなかった!けど自分を投影するとしたら精神分析医だって言うとモリーナは驚いたのはそのつもりなかったのかな~。

 

彼女のことを思い出して、手紙が書きたい!!!と暴れてる時に、モリーナにが面会に呼ばれて、その面会自体はコミカルに進んでいくのに対して、真横で胸をドンドンって抑えて我慢している(=「人間の尊厳」の象徴)のヴァレンティン。負けないようにと、壁に持たれて体育座りで涙を浮かべぼーっと空を見つめているヴァレンティンさん、ぎゅって抱き締めて髪をなでなでしてあげたいよ~。。。

 

マルタへの手紙書かせるシーン
「闘争」というアイデンティティが我慢すること、耐えることを支えるんだけど、本末転倒になってるのが皮肉。自分の健康が大事で、命が惜しい、死にたくない、でもそれは闘争のためなんだけど、好きな人に会いたいという本心が明らかになってきて、人間らしくて可哀想でたまらない。この革命家としてだけでなく好きな子への純粋な気持ちとか孤独が表に出てきて、手紙という方法を媒介してだけどモリーナに伝わったのが、モリーナの気持ちの変化にも影響してるんだよね。手紙を破るのは今も闘争の最中で、そういう恋心とかは抑えなきゃいけない、ってことなのね。
あぁもう、その身体にはちみつ沢山かけてあげたい~~かわいい~

とにかく終始痛いとか痒いとかお腹空いたとかで不憫で元気がないヴァレンティンさん、真綿で包んであげたい欲。

 

 

で、これはくだらない話なんですけどくだらなくないので書きます。

ヲタクとしてぐっとくる台詞w
「ふくれんなよ馬鹿野郎」「今キスしてほしい?」「怒るよ?」「言ってごらん」
なんか、もっとあったかも。今覚えてるのはこれ。現代劇でっぽくて萌える、なんなら携帯小説ばりのキュンキュン台詞。。
言い方も、柔らかくてそれまでのドスドスした話し方と違うからキュンとくるよね!

対して「恥ずかしい」「ちょっと、恥ずかしい」
これ現代劇ではなかなかない台詞だよね、恥ずかしいって、あるとしたら抱かれてる女側の台詞じゃん~~~ひんんんんんはずかちいヴァレンティンたんきゃんわいいでちゅね~~~~~!!!!!!

 

 

最後に、初日を見た後に考えた私的テーマについて

 

1どうして情後、モリーナはヴァレンティンに同化したのか。
2
どうしてモリーナは所長に一週間後別棟に移ることを提案したのか。
3
どうしてモリーナは伝言を頼まれたのか、身を投じた理由。
4
どうしてモリーナに出所後人間の尊厳を保つように願うのか。

 

結構答えはシンプルかもしれない。
初日後あのブログを書くまでに時間が空いたのもあって、断片的に思い出してたから深読みしすぎたかな。というか、台詞のなかにきちんと答えがあった。笑

 

1 危険が無いと感じたから。
それで二人の結論は出ているんだけど突き詰めればそれはつまり二人で一つの事に集中したからなのかな。共同作業って言うとなんかあれだけど、ずっと同じ部屋にいて時間を共有していた二人が、セックスの時はもちろん大好きなモリーナとそうでもないヴァレンティンの相違はあるけど、一つになったことは間違いない訳で。だからその「熱中」が他のことを考えなくていい、お互いにお互いを無心に必要としているっていう部分と物理的な人肌の安心感で、束の間だけど「気が休まって」危険から切り離されていたのかな。

 

2 鞭で拷問すると言う上層部からの命令を聞いて咄嗟に出てきた、言わばその場凌ぎの提案。一緒にいたい、という自分のための願望ではなくて、ヴァレンティンがかわいそう!っていう気持ちで口走ってる感じかな?そのあとどうなるかとか、考えがあって言ったっていうよりも。

 

3 政治的革命思想に感化されたわけではない、けど人間の尊厳を保とうと思ったのがベース。ただ行動に移す勇気が出なくて、逃げきろうかとも考えた。神様に誓って母のために生きるって、そのためにはどんな犠牲も厭わないと決めたから。でも自分に唯一愛をくれた母親、だからそのために生きようと思ったのに、ヴァレンティンが同レベで浮上してきちゃう。

そこに恋心、愛情があるから行動に踏み切った。ここを出たらもう会えないとわかっていたから後悔したくないと思ったのかな。だから、蜘蛛女にとっての「キス」はその行動に移すエンジンだったのかな。電話番号を聞くきっかけとしてはやっぱり「キス」。
でも、原作では自分が警察に捉えられたら殺してくれと『自ら同志に頼んだ』という記述はなくて、結果としての死。

モリーナは本当に死んでもいいとまで思ったのか?もちろんその覚悟がないとできないことなんだけどさ。セックスしたあとにはその余韻のまま死にたいというようなことを言ってはいるけど、現実的に母親と映画を見て、幸せなはずなんだから。きっと、うまくいくって希望を持ってたんじゃないかな。危険を犯して彼のために行動をするという点ではロマンティックに憧れる乙女なモリーナの部分故もあると思うけど、それだけで母親を差し置いて命を捨てていいというところまでいかないような。ヴァレンティンは「やり方さえ間違えなければ大丈夫」って言うしね

それとも原作にはない部分を足したのは、モリーナが死を受け入れている、崇高な死を望んでいるということにするためなのかな。

どちらにせよ、現実ではそれを知らないはずなんだから、やっぱりそれをヴァレンティンが語るのは悲しいけれど救われる。いや、救われるのか?もしかしたら、知らない方がよかったんじゃないかな?わからないけど。それにしてもモリーナのお母さんが可哀想すぎるね……

 

4これも愛情故。
社会的弱者がその立場に甘んじているのが許せないという理念があるとはいえ、ただ牢獄で同室になっただけの相手にはそこまで強要しないよね。けど、モリーナに感謝、そこからマルタへの恋心とは違う種類かもしれないけど、愛情を感じたから、モリーナにも出所後は自分が思う「正しい姿」で生きて欲しいと願うんじゃないかな。お餞別のキスを頼まれたときの「わかった」の言い方、初日より間がなくて躊躇なく出てるような感じだった。そのキスのあとにもセックスしたあとと同じような「ありがとう」「こちらこそ」ってセリフが出るの、ぎこちなくて、切ない。
互いに、監獄を出たらもう交わらないことを分かってるから(モリーナは伝言を頼むことでヴァレンティンの出所が早くなるのかと期待するけど、そうでなくてあくまで運動の助けになるだけ)、人間の尊厳を守る、という共通点があることで、牢獄に残されたヴァレンティンにとっての「外の世界の仲間」にモリーナが加わってくれると思った。きっと、更なる拷問を受けている間、敗血症に苦しんでいる間、人間の尊厳を手にして任務を遂行しているであろうモリーナの姿は組織の仲間と同じくらい、彼を生きようとさせてくれるものだったんじゃないかしら。

モリーナにとっての「自分らしく生きる」が結果としてヴァレンティンのための行動で、それが故に死ななければいけなくなるからやっぱり悲しいけど。でも生きる道としは同じだったことを最後のシーンで語り合えるから、バラバラじゃないという意味では救われる。

 

シンプルかもしれない!と言ったわりに書くとぐだぐだになるやつ………

 

次回のテーマは、ヴァレンティンの気持ちの変化をもっと感じとりたい!
モリーナは分かりやすいんだけど、ヴァレンティンは気難しいっていうかなんでここでその感情になったんだろう?なんで今それ言うの?みたいなのが多くて、もっと全体で見ないといけないかなって。
まぁ基本体調悪いし、情緒不安定なのがヴァレンティンだから、理解なんてできなくていいんだろうけど。なんなら本人もわかってないし。

 

この舞台何かが起きてはっきりした起承転結があるというよりも、二人の気持ちの変化自体がストーリーだから、熱中すると余計に頭がこんがらがっちゃう。特にあとからこうやってちょこちょこ思い出しながら書いてると、あー、あの台詞なんだっけ?あれのあとだっけ?みたいに順番もごっちゃになっちゃうんだよ。。

 

 

一つ言えるのは、忠義ちゃんの演じる作品で、これだけ内容に集中して考察できるのが幸せ~!

今まではどうしても「自担の演技」が気になって、そこまで考えられなかった。忠義ちゃんが演じた役柄にこれだけのめり込めるなんて、始まる前は思わなかったよ!

きっと、ここが変わった!この時の動きが!とかいう演技の善し悪しばかっかり出てくるだろうなって、そう思ってブログも開いたんだけどね。想像以上に、完璧なヴァレンティンなので、ここまで物語を深く追求出来るんだと思う。

忠義ちゃん、こんなに蜘蛛女のキスという作品に熱中させてくれてありがとう!!!!!!